伊勢物語

『伊勢物語』筒井筒2 の楽しくてわかりやすい現代語訳

2020年9月19日

伊勢物語 筒井筒 現代語訳

『伊勢物語』筒井筒2の原文

さて、年ごろ 経るほどに、女、親なく、頼りなくなるままに、
もろともにいふかひなくてあらむやはとて、河内の国高安の郡に、行き通ふ所いできにけり。さりけれど、このもとの女、悪しと思へる気色もなくて、いだしやりければ、
男、異心ありてかかるにやあらむと思ひ疑ひて、
前栽の中に隠れゐて、河内へいぬる顔にて見れば、
この女、いとよう化粧じて、うちながめて、風吹けば沖つ白波たつた山夜半に君がひとり越ゆらむと詠みけるを聞きて、かぎりなくかなしと思ひて、河内へも行かずなりにけり。

『伊勢物語』筒井筒2の現代語訳

『伊勢物語』筒井筒の親しみやすい現代語訳

幼馴染のふたりの結婚生活が始まったんだけど、
長い結婚生活、いろいろなことがあるのよね。

何年かの年月が過ぎ、女性の親が亡くなってしまったの。
それから男は別の女を作っちゃったのよ!

女性の男親がいなくなるというのは、
経済的にたいへんになってしまうということ!

奥さんの実家がお婿さんのめんどうをみてあげてる時代だったから。

当時の結婚形態は、女のところに旦那様が通う、という形。
そして、経済的な面倒も女の親がみていたんです。

女の親が亡くなって、
経済的な援助ができなくなると、男が通ってこなくなる!
というのも珍しくはなかったのです。

ここは、まさにそういった場面。

男は、
「このまま女と一緒にふがいないままでなんかいられるもんか。
一緒に貧しい生活をするなんて冗談じゃない!」

と思って、河内の国というところに通っていく別の女を作っちゃったの。

河内の国というのは、今の大阪。
男は、大阪の女のところに通い始めたのよ。

男は大阪の女から経済的に面倒みてもらえるようになったというわけなのね。

伊勢物語 筒井筒 現代語訳

夫が別の女のところに出かけていくなんて
普通ならしかめっ面になるところじゃない!?

ところが、この幼馴染の妻は、

男が浮気相手のところに行くって、
わかってるはずなのに、
嫌な顔一つせずに送り出してあげるの。

男のほうは、

「絶対におかしい!
女も浮気してるに違いない。
だから、平気な顔で送り出してくれるんだろう。」

と思って逆に疑ってしまったのね。
河内に出かけるふりをして、植え込みの陰に隠れて様子を見ていたの。

自分のことは棚にあげておいて、
妻が浮気しているかも。
許せない!
と思うのって勝手なことよね。

伊勢物語 筒井筒 現代語訳

女は、とってもきれいに化粧をして、
ぼんやり外を眺めてもの思いにふけっているようなの。

そしてこんな歌を詠んだのよ。

風吹けば沖つ白波たつた山夜半に君がひとり越ゆらむ
あなたは夜中に、ひとりで竜田山を越えているのかしら。
今夜は風が強くて、沖には白波がたつほど。
あなたのことが心配だわ。

これを見ていた男はびっくり。

「妻はこんなに自分のことを思っていてくれたのか。」

けなげな妻のことがものすごく愛おしくなってしまったのよ。

誰が訪れてくるのでもないのに、
身なりをきちんと整えて風情を忘れない。

なんて上品なすばらしい奥さんだろうって妻の気高さが尊いものに思われたね。

とうとう河内に行くのをやめてしまったの。

『伊勢物語』筒井筒2の解説

男は、妻のことを 「かぎりなくかなし」 と思った、
というのは、
この上もなくかわいい、愛しい、 たまらなく大好き! と思ったんですね。
浮気してる夫の身を、
うらむどころか、 ただ心配するなんて、
なかなかできることではありません。

もとの女の格調高さが描かれています。

もとの鞘におさまって良かったわ。
でも、大阪の女はどうなっちゃうのかな?

『伊勢物語』筒井筒3のわかりやすい現代語訳

 

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