宿木 源氏物語

宿木

2020年9月16日

源氏物語 宿木 わかりやすい現代語訳匂宮の留守中に、薫が中の君のところにやってきます。
薫は、匂宮の留守を確認してから、まるで留守とは知らなかったようなふりをしてやって来たんです。中の君とふたりだけで話をしたいっていうのが見え見え!
(二人きりと言っても、まわりは女房だらけなんだけど)

匂宮が間もなく正室を迎えるというので、自分の立場が不安で不安でたまらない中の君は、いつもほどには薫にそっけなくはしないみたいね。やっぱり他に頼りにできる人が誰もいないものね。

誰も頼る人がいない中君。
お父様の八宮も亡くなってしまった。
支えあってきたお姉さまも亡くなってしまった。

お母さまはもうとうの昔に亡くなっている。

ただ、匂宮の愛を信じるしかない。
でも、将来の東宮候補と目される匂宮には、協力な後ろ盾を持つ姫君が正室となるのはしかたないこと。

そうなると、日陰の身になってしまうのでは、と中の君は不安でたまらないんですね。

薫は父の生前中からよく面倒みてくれるけど、ちょっと下心ありそうで・・・。あんまり頼ってよいものか、警戒してしまう。

それが、ここにきて、匂宮の結婚話が出てきたところで、中君も薫に頼りたい気持ちが出てきてしまったらしく、しんみりとお話したりしてます。

後ろ盾のいない姫君というのは、ほんとうに心もとないものだったということ。
実家の力というのは今と比較して、もっともっと重要だったということです。

天涯孤独の中の君が気の毒です。

【八】薫、中の君を訪れ、互いに胸中を訴えあう

源氏物語 宿木 わかりやすい現代語訳

原文

 日さし上がりて、人々参り集まりなどすれば、あまり長居も事あり顔ならむによりて、井出たまひなんとて、
薫「いづこにても御簾の外にはならひはべらねば、はしたなき心地しはべりてなん。いま、また、かやうにもさぶらはん」
とても立ちたまひぬ。宮の、
などか、なきをりには来つらん
と思ひたまひぬべき御心なるもわづらはしくて、侍所の別当なる右京大夫召して、
薫「昨夜まかでさせたまひぬとうけたまはりて参りつるを、まだしかりければ口惜しきを。内裏にや参るべき」
とのたまへば、
大夫「今日は、まかでさせたまひなん」
と申せば、
薫「さらば、夕つ方も」
とても出でたまひぬ。

現代語訳

薫が中君とお話していたら、いつのまにかずいぶん時間がたったのね。もう日が高くあがってきてしまったの。女房たちも次々を出勤してきて、中君のおそばに参上してきたのね。薫は、あんまりいつまでも長居していると、中君に特別な思いを抱いているなんてかんぐられたらたいへん、と思ったのね。
誤解されないように、わざわざよそよそしい感じを印象づけるようなことを言ってお帰りになったの。

「こちら以外のどこに伺っても、こんなふうに御簾の外に置かれるような他人行儀や扱いは受けないものなのに。今日は御簾の中にも入れてもらえず、よそよそしくされて決まりの悪い気持ちになってしまいましたよ。また、次もこんな気持ちにさせられるんでしょうが、それでもいいです。また、参ります。」
とおっしゃってお立ちになったのね。

匂宮が後からお聞きになったら、やきもち焼きの彼のことだから、
「どうして自分の居ないときに薫は訪ねてきたんだ!」
と中君への下心が薫にあるのでは、と疑うにきまっている。それが煩わしいから、ここはきちんとしておかなくちゃ。

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